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「日高君、なんか顔色悪いけど大丈夫?」
クラスメイトの男子に声をかけられて、ハッと我に返った。
5月中旬ともなると気温がかなり高くて、3時間目の体育は僕の体力をすっかり奪っていた。
「保健室に行った方が良くない?」
「そうだね。でも、もうすぐ授業も終わるし、終わってから行くよ」
クラスメイトにはそう言ったけれど、授業終了後僕が向かった先は保健室ではなく、第二校舎の屋上だった。
高校に入学して以来、初めて足を踏み入れた屋上。
本来は生徒が立ち入ってはいけない場所とされている。
それは充分わかっていたけれど、ヨロヨロと日陰のある場所を探して歩いた。
しばらくすると給水タンクのそばに休むに良さそうな場所を見つけたから、僕はそこに腰を下ろすことにした。
だけど、途中でやめた。
だって、その給水タンクの横には既に先客がいて、気持ち良さそうにそこに横たわっていたから。
いかにも背の高そうな脚の長い男子生徒。
起こしちゃまずいと思って離れようとしたけど。
僕の気配に気づいてしまったのか、その生徒がパチッと目を開けた。
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