163人が本棚に入れています
本棚に追加
高槻結夜。
高2で同じクラスになるまで、僕は彼の存在を全く知らなかった。
第一印象は、後ろ姿がやけに綺麗な人。
背が高いのに一番前の、しかもど真ん中の席に座っているものだから、どうしたって視界に入っていた。
しばらくすると、綺麗なのは後ろ姿だけじゃなくて顔もだとわかるのだけれど。
無表情かつ無愛想な高槻君はどこか近寄り難くて、見た目の華やかさに反して一人でいることが多い。
さらに彼は、たびたび教室からその姿を消すところも印象的で。
サボっているのだろうと思ってはいたけど、まさか屋上にいるなんて。
今の今まで僕は想像すらしていなかった。
「つうかお前、顔色悪くね?」
しばらく黙っていたのに、急に声をかけられてドキッとした。
「あー、えと。3時間目の体育でちょっと疲れちゃったんだ。だから、少しここで休もうかと」
「は? だったら保健室に行った方が良くね?
その顔色なら、すぐにベッドで休ませてもらえるはずだぞ。
つうか、もう早退レベルなんじゃねぇの?」
高槻君は呆れたように言った。
「そうかもしれないけど。
でも僕、今日は放課後まで学校に残っていたいんだ。
だから、お願いします。
僕も、ここにいさせてください!」
そう言って僕は、必死に頭を下げた。
最初のコメントを投稿しよう!