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episode2
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「おーい、結夜」
学校へ行こうと家の門から自転車を道路に出していたら、背後から聞き慣れた声が聞こえた。
「おう、杉田」
俺を呼んだのは、小中と同じ学校に通っていた杉田だった。
「おはよう。途中まで一緒に行こう」
杉田の誘いに無言で頷くと、俺と杉田は横並びに自転車を走らせた。
「俺の学校、もうすぐ中間試験なんだけど。
結夜の学校も?」
「さぁ、知らない」
そう言えば、そろそろ発表だったかもしれないけど。
別に興味はないし、どうでもいい。
「相変わらずだね。昔は俺よりずっと成績良かったのに」
「いや、俺はバカだろ? 受験に失敗したんだし」
私立の難関高校を受けるには受けたけど。
俺の成績じゃ、受かるわけがなかった。
だから今こうして、滑り止めだった公立高校に通っている。
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