秋風たなびくアイス日和

　彼女を見かけたのはちょうど１ヶ月ほど前、休み時間のことだった。
　テスト明けの解放感とともに、友達とバレーボール。久しぶりに体を動かすのが楽しくて夢中で遊んでいた。少しはしゃぎ過ぎかと思ったが案の定つまずき、ひざを擦りむいた。自分では放っておけば大丈夫だろうと思ったが、血がどくどく流れるのを見て友達が止める。そうして渋々保健室へ向かったのだった。
「本当にこんなんで良いのか？」
　保健室のドアに手をかけた時、聞き慣れた担任の先生の声が聞こえた。男性にしては少し高めの声はかわいいと女子の間では人気がある。まあ人気なのは声だけじゃなく少し引き締まった顔などの影響もあるが。
　いずれにしても女子校の生徒にしてみればぴったりの騒げるネタだ。

　そんな先生が保健室に何の用だろう。体調の悪い子でもいるのだろうか。
「いいの、私アイス大好きなんだから。特にこれは食べやすいし冬でもいっつも食べてるのよ」