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「ねえ、長崎さんも1個食べない?」
頭の中でなんども繰り返したセリフをまたまた頭で繰り返す。
「アイス、長崎さんは食べる?」
「これ、美味しいよね!」
頭の中でならいくらでも言えるのに、口からは出てこないセリフ達が頭を巡る。今日も言えそうにない。アイスを掴む指先がキンキンに冷えているのを感じて余計落ち込む。
あの日見た嬉しそうな表情は、あれ以来一度も見れていない。思い出せば思い出すほど別人のよう。そして口はやっぱり開かない。登校して来た長崎さんは、相変わらず済ました顔をして目の前を通り過ぎていった。
ああ、今日も声をかけられなかった……
秋風たなびく今日この頃。
明日もきっと、アイスを食べる。
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