そつぎょうの、ひ。にゃ

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そつぎょうの、ひ。にゃ

わたしがあの小学校に新入生として通い始めたのは、まだ暑さの残る九月のこと。 あれから卒業までだいたい六年間。 秋には運動会。かけっこでは負け知らず。 でも、水泳の授業では浮き輪を持参。 クリスマスはわたしの家にみんなを招いて毎年パーティーをした。 パパとママの作るケーキはたまらない。 にゃにゃ。その前にハロウィンがあったか。 わたしは黒猫の仮装をして、魔女の仮装をする女の子の足下でポーズをとった。 新年、干支には猫がいないということで、寅年の年賀状には虎模様のメイクをしたわたしの写真がクラス中で使われた。 二月、ももちゃんの誕生日。 家には溢れる位の桃の花が届けられた。 三月、桜の花が咲く時期。 みんなで昼間公園に行って、お花見をした。 八月三十一日、ももちゃんが亡くなった日。 あの道路にお花を供える。 六年間先生もクラスメイトも変わることなく、わたしはずっと出席番号22番のままだった。 いっぱい遊んだ。 いっぱい勉強した。 ももちゃんの分まで。わたし自身の分まで。 みんなと一緒に過ごした六年間。 どれだけ大きくなったかな? どれだけ大人になったかな? 六年生、最後の日。 わたしたちは胸に花を咲かせて、それぞれの道を歩いて生きます。 わたしは猫。みんなは人。 おんなじ道はひとつだってない。 猫と人であったら尚更違う。 でも、きっとまたいつか、あえるって信じてる!にゃ! 卒業式の日、順番に名前が呼ばれていく。 六年間ずっと聞いていた先生の声に、安心してみんな元気よく返事を返していく。 次はわたしの番。 「22番、さくら」 「にゃい!」 桜の花が舞い散る卒業の日。 保護者席ではパパとママがももちゃんの遺影を持って座ってる。 卒業証書は手に添えるだけ。 これは、わたしとももちゃんのふたり分の証書。 みんな笑顔で旅立っていく。 そして、いつかみんなで集まって、また笑うんだ。 涙と笑顔が交ざる、卒業の日。
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