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おやすみにゃ
小学校を卒業してから何回も何回も春が訪れた。
わたしは、猫としては長生きをしていた。
体は少し怠かったけど、小学校のOBとして後輩の世話をちまちましてあげていた。
パパとママは、もう充分頑張ったんだからいつお休みしてもいいんだよ、って言ってくれていた。
自慢の娘だって。
パパとママも年をとった。
白髪もしわも増えたけど、優しい二人の雰囲気を更に柔らかくしていて、わたしは似合っていると思う。
もうすぐお別れのとき。
わたしは、パパとママに出会えてすっごくすっごく、すっごーーーく。幸せだよって最期の日に甘えながら伝えた。
伝わってるといいな。
それと、もうひとつ。
わたし、みんなと同窓会を開くんだよ、って。
また、みんなと会えるんだよ、って。
小学校の時のクラスメイトは、なぜか早死にしてしまっている。
今じゃ半分くらいしか残ってないかな?
でもあの日、わたしたちは約束をした。
同窓会の案内状が届いたら、あの場所で待ってる。
みんなが、まってる。
そう言って、わたしは体の力をくたりと抜いた。
眠りに沈む最期のその瞬間に、パパとママが頭を撫でて
「ありがとう、さくら」
と言った気がした。
先に逝くね。パパ、ママ。
お休みにゃー…
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