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アグネスとディートハルトは捕えた男を役所につき出し、その報酬を受け取ると、自身の泊っている宿へと帰還した。
宿に戻ると、一人の少年が二人を出迎える。
この少年はまだ騎士とは認められていない従騎士の扱いではあるが、実は今年で二十歳となり既に少年ではなくなっている。
「出迎えご苦労、余は先に休ませてもらうぞ!」
少年に対し偉そうに言うと、アグネスは自身の部屋へと階段をかけ上がっていく。
「ディートハルト様! いつまでこんな茶番を続けるつもりですか?」
少年はアグネスがその場から姿を消すのを見届けると、訴えかけるように口を開いた。
「ん? 茶番?」
「アグネスは本気で建国する気でいますよ!
小悪党を役人につき出して貰える報酬なんてたかが知れてるでしょう!
一体何年かかると思っているんですか?」
「…………
まだまだ子供なんだし、今はやりたい事を思いっきりやらせた方がいいんだよ。
今まで自由なんてない生活をしていたわけだしな」
「それはわかりますが……」
「その内、歳を取っていけば、現実というモノが見えてくるさ」
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