怪談

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怪談

「これもイマイチ……」 「う~む……」  プリンセスガードの詰所で、ディートハルトは大量の本を持ち込み片っ端から斜め読みしては投げていた。 「何してるんですか? ディートハルト様?」  ディートハルトの行動を疑問に思ったイザークが問う。 「ん? いや、『水戸黄門』が有害図書になったから、次に読む本を探していてな……」 「…………  えーと、本を読んであげたいんですか?」 「まあな……」 「風邪でも引きました?  いつもは姫様に読んでとせがまれても基本的には断わっていますよね?」 「ハハハ! 中々鋭いな!」 「お体というかお頭をお大事に……」 「おい! そうじゃない。  俺が姫に読んであげたいのは……」  ディートハルトは積み上げている本を一冊手にとって、イザークに向かって投げる。 「ん?」  受け取った本には『流血の墓場』と書かれていた。
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