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また騙されてしまったかと自分自身の浅はかさと男運の悪さに辟易しながら友人からの噂話を上の空で訊いていたのだった。
午後からの業務中、携帯にメールが届いた。外回り中の宮間さんからだ。
【今夜7時、いつもの処で待っている】
「……」
既にテンプレ化した内容にため息しか出ない。
(まりえちゃんがいるのになんで私になんか構うんだろう)
セックスがしたかったらまりえちゃんとすればいい。今までは私が宮間さんの彼女だからという認識だったから応じて来た行為も、ふたりの関係を知った今では全くもって興醒めなものになっていた。
(セフレなんて御免だわ)
こんな私にだって意地とかプライドとかそういうちっぽけなものはある。結果はこんなことになったけれど本当の私は──
(………っ)
思わず目頭が熱くなり涙が零れそうになった。PC画面がぼやけて来て慌ててハンカチで押さえた。
(泣くもんか…こんなところで)
そんなことを強く思いながら私は仕事に集中した。
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