拾った男

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業務を終え退勤した私はそのまま家路へと向かった。勿論宮間さんのメールに返信はしていないし、いつもの処に行く気もなかった。 私の中ではもう終わったことだ。何も関係ない。宮間さんのことなんか── 「~~~っ」 気を許すとすぐに熱くなる目頭。こんな風に女々しいのは嫌だと今までに何度も思って来たことだったのに…… (所詮私は一番になれない女……なのかな) そんな自己嫌悪感が胸いっぱいに積もりやるせない気持ちが私の中に小さな嗜虐心(しぎゃくしん)を芽生えさせた気がした。 ひとり暮らしのマンションの部屋の鍵を開けて中に入る。 「ただいま」 いつもの癖でいってしまう言葉。ひとり暮らしなのだからその挨拶に応えてくれる人は誰もいない。
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