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──だけどそれはほんの数日前までのこと
「おかえりなさい」
「……」
明かりの灯っている部屋の隅っこに座っている若い男が私を見てにっこりとほほ笑む。思わず赤面してしまうほどに見目麗しいその顔面に思わず顔を背けてしまう。
「お仕事お疲れ様」
「……うん」
屈託のない笑顔を向ける彼に対して今まで抱くことの無かった気持ちが湧いて来ているのが分かった。
「ご飯、食べる?」
「何か作ったの?」
「軽くね。冷蔵庫の中のもの、食べてもいいっていってくれたから」
「大したもの入っていなかったでしょう」
「そんなことないよ。自炊する人の中身だった」
「……」
そんな会話をしながら不意に彼は私が持っているコンビニの白い袋に気が付いた。
「もしかして何か買って来た?」
「あ…これは…」
言いながら私は袋の中身をテーブルの上に出して行く。いわゆるコンビニスイーツというものを6つほど。
「どうしたの、こんなに」
「…ちょっとやけ食いしたい気分で」
「……」
宮間さんと関係を持つようになってから少し気にし出した体型をなんとかしたくて甘いものを控えていた。
だけどそんな我慢も不要となった今、猛烈な反動が私に散財させた。
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