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「何かあったの?」
「……」
「やけ食いしたい何かが」
「……」
「俺でよかったら訊くよ、話」
「……」
「鈴ちゃんは俺の命の恩人だからね」
「……」
「恩返し、させて欲しいな」
「……」
優しく紡がれる彼のひと言ひと言が私の心に深く突き刺さり、あぁ、優しいなぁと思うと同時に──
「…鈴ちゃん?」
「──キリオくん」
「ん?」
「セックスして」
「……え」
「私とセックスしてよ」
「……」
この得体の知れない男にめちゃくちゃにされたいと思ってしまった。
「私はキリオくんの命の恩人なんでしょう?」
「……うん」
「三日前、怖い人たちに脅されてお金をせびられていたキリオくんを助けたのは私だよね」
「……うん」
「あの時、キリオくんを助けるために私はあの人たちにお金を払ったよね」
「……そうだよ」
「だったら私のいうこと、きいてよ」
「……どうしたの、突然。鈴ちゃん、そんなキャラじゃないで──」
彼がいいかけた言葉は私の心に小さな亀裂を作った。
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