カンキンコン- 監禁婚 - Ⅱ

拾った男

精一杯虚勢を張って、今、目の前にいる彼を煽る。

「ねぇ、つべこべいわずに私とセックスしてよ」
「……」
「私とするのは嫌？キリオくんの好みじゃないしキリオくんより歳上でキリオくんからみたらおばさんなんだろうけど」
「……」
「だけどキリオくんに拒否権なんて──」

PiPiPiPiPiPi♪

「っ！」

壁際の彼に迫ったところで携帯から着信音が鳴った。時間的にひょっとしたらと思い当たる人物の顔を一瞬浮かべた。

「……鈴ちゃん、出ないの？」
「……」

私がしばらく固まっていると彼が私の二の腕を触りながらいった。

鳴り止まない着信音に覚悟を決めて私は携帯を手にした。案の定、画面には宮間さんの名前が記されていた。

「…もしもし」
『あ、森上？今どこ』
「……」
『メッセージ見たんだろう？オレ、もう部屋にいるんだけど』
「……」
『残業じゃないよな、オレより先にフロア出て行ったし』
「……行きません」
『──は？』
「行きませんよ、私。というかもうやめます」
『何いってんの』
「何って…宮間さんこそ何いってるんですか」
『は？』

宮間さんの全く悪びれていない態度に段々腹が立って来た私は徐々に冷静さを欠いて来た。