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⁑ 雪の日の出会い ⁑
しんしんと雪が降る。
人通りも少なくなった夜半、雪は降り積もる。
普通なら暖かい家に帰り、こんな場所に立ちすくむ人などいない。
そう、私の足は止まってる。
もう歩けない、歩きかたも忘れてしまった。
こんなことしても、しょうがないのに。
誰かが迎えに来る事も無いのに。
待ち合わせでもないのに、私は待っている。
もう、帰らない・・あの人を。
「寒い・・」
ダウンコートは大きくて、私には合わない大きさ。
袖をまくり、ブカッとしたコートと、
マフラー越しに首をすくめる。
彼の形見のコート。
手袋してても寒い、ブーツでも足元が凍える。
「ホント、何してるんだろ・・」
自分でも呆れる。
呆れるのに、それでも待っていたい。
私ってバカ。
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