⁑ 小鳥のパン。その1 ⁑

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⁑ 小鳥のパン。その1 ⁑

 「勝手に工房に入ってくるし、何ですかコイツは」 「そっちこそ、その口の悪さは何よ!」 こらこら、ケンカは・・と店主。 「工房は俺らの聖域だ、よそ者が勝手に入るんじゃねぇよ!」 「バカでしょ?・・聖域?オーバーだわ」 「言ったな、コイツ!」 「言って悪いの?大体コイツじゃないわ、沙織(さおり)よ!」  その時。 「やめなさい!娘が起きてしまうわ」 「あ、奥さん。すみません」 「全く浩太(こうた)はパンの事になると、人が変わるわね」 「すみません。せっかく奥さんがデザインしてくれたのに」 「その事じゃないわ、女の子にもう少し優しくできないの?」 「はい。気を付けます」 ふわぁ~、何の騒ぎ?と娘が起きて来た。小学3年くらいだ。 「やべ。(すみれ)ちゃん起こしちゃったね」とそそくさと娘を抱き上げ 階段へ向かう。娘の部屋は2階らしい。 だが腕の中で娘はパンを見つけた。 「浩太ぁ、小鳥のパンいつ出来るの?」 「ハハ、これは失敗。こう少しかかるかな」 「えー菫、早く小鳥のパンが食べたい」 浩太はいったん菫を下ろし、子供の目線に合わせ座った。 「俺、頑張って作るから。もう少し待ってて。」 それより菫はもう寝なくちゃと言うと、そうする!と階段を駆け上がった。  ん、んん・・?私の時と態度が違い過ぎない?
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