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肌触りのいい足拭きマットを踏み締める。バスタオルは用意してあった。けど自分がおいた覚えがないから多分彼が準備してくれたんだと思う。
「バスタオルありがとう」
ガラス越しに声をかける。途端に呪文でも放ったみたいに扉が開いた。
「なぁに、このくらいなら大したことはない」
本当に大したことはない。そのわりに熱い胸板を張ってめっちゃ得意そうにしている。
頭からガシガシ拭いていく途中、シャワー浴びたままの彼が真後ろから抱きついてきた。俺の腹を両手で包むように。
「おい体拭けよぉ、もう」
タオルを取ると濡れ髪がボサボサでとんでもないことになっていたけど、彼はその髪の一房一房にキスを落としていく。
「シャワーの余韻で暑いんだ。クールダウンしなければならない」
もっともらしいことを言うし。俺も俺で甘えちゃって完全拒否というわけではない。口だけの抵抗はいつものことだから許してほしい。
「そんなんじゃクールダウンになんねーだろ」
「たしかにな。ハニーに触れているだけで体が熱くなるからな」
「完全に逆効果じゃん」
くくっと喉奥で笑う。真昼間から2人してシャワー浴びるなんてあんまりないから、ちょっと艶かしい気持ちになってくる。
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