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「そんなこと気にする必要はないじゃないかハニー」とかやつは言うんだけど、貧乏性はそう簡単に抜けるもんじゃないし、この結婚生活で庶民感覚は忘れちゃいけない気がするからそれでいいと思っている。
天井から降ってくるミストシャワーの仕様は別階の自宅と変わりない。ぬるめのに当たりたくてちょっと調整する。一瞬だけ水をかぶって、すぐに思った通りの温度に変わった。
「っ、あー」
上を向いて顔からシャワーを浴びる。優しく細かい水の玉が最高に気持ちいい。思いっきり伸びをして軽く体をほぐした。
最高に気持ちいいっていうのは、風呂ともなるとほとんど毎日彼が乱入してくるもんだから、一人でのんびり入れるっていうのも気持ちいいっていう意味も含めてのこと。まぁちょっと寂しいけど。
「早く帰ってこねぇかなーっと」
だいだいどこに行くにも一緒の彼と俺だけど、休みの日俺がやたら眠そうだったりダルそうだったりしてると、彼が気遣って別行動することもある。今回は前の日に飲み過ぎて二日酔いでダウンしちゃっての別行動。起きたらもう昼近くで今に至るって感じ。生活において大まかにルーティーンのようなものが出来上がっている彼には寝坊という概念がないのだった。
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