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「っあー」
薄ら青いタイルに囲われた浴室内には、全身が写る鏡がある。彼の身長ぴったりくらいの高さと、2人で並んでも余るくらいの幅だった。そばにタイルに浮かせるみたいに置かれた猫足のバスタブがある。泡風呂が似合いそうなガチの猫足のバスタブ。しまいに雨みたいに降ってくるシャワーとかメルヘンチックこの上なくておっさん2人の生活では浮いてるけど、気分転換に外国気分を味わうのにはちょうどいい。でも今はシャワーだけ。
頭から爪先までたっぷりと体を濡らすと、じわじわと芯から温まってくる。
「ふぅ」
本当に気持ちいい。全身でぬるい優しいシャワーを浴び続ける。
迂闊にも微笑んでしまったところで、不届き者は突然バスルームのドアを開けやがったのだった。
「Oh! ハニーなんてセクシーなんだ!」
「お前いきなり開けんじゃねぇよ!」
瞬間的に体を腕で庇ってしまった。
「何を隠す必要があるんだ、俺は夫だぞ?」
無駄に怪訝そうに眉を潜めているのがすげぇ癪に触る。
「だからぁ! いきなり人の風呂開けるやつがあるかっつうの!」
「俺とお前の中だろう、気にするな」
2人っきりとはいえ全開のまま会話を続ける。
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