第弍話<明和学院戦>

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はじめと明和学院特待生・佐伯との勝負から次の日のことだった。はじめとケンはいつものように学校に登校した。いつも通りに授業を受け、昼休みになった時だった。 「おい、緒方と前田」 はじめとケンがお昼ご飯を食べようと学生食堂のテーブルに腰を下ろした時だった。突然声をかけられ、すぐに反応したのはケンだった。 「あ、若松先生」 『誰だ?』 ケンの声とは対照的に誰だか分からないといった様子を浮かべるはじめ。無意識にジッと見ると、その男は話し始めた。 「おっと、緒方とは初対面だったな。初めまして、私は野球部で顧問をやらせてもらってる若松だ」 かすみ高校野球部監督を務める若松先生。はじめはとっさに頭を軽く下げた。 「それより若松先生、どうしたんですか急に」 ケンの言葉に、若松先生は思い出したように答えた。 「おお、そうだった。ついさっきな、明和学院の野球部から電話が来たんだ」 若松先生の言葉に二人は注目した。昨日のことなのに、佐伯達の行動の速さに思わず驚く。 「もしかして練習試合ですか」 「おお、勘がいいな、前田。その通りだ、あの明和学院がなんとうちに練習試合を申し込んできたんだ。今週の土曜日にな」 今日は火曜日。なんとすぐに練習試合が申し込まれた。はじめはまだ野球部に入部すらしてないが、一週間もしないうちに明和学院との練習試合を行うこととなる。
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