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さらに若松先生は話を続けた。
「それでな、相手方から気になることを言われてな」
「気になること?」
「ああ、¨緒方はじめを連れてきて欲しい¨とな」
明和学院からの直々の御指名。昨日の勝負で佐伯がいかにはじめを意識をしていることが伝わってくる。はじめが呟くように言った。
「わざわざ名指しかよ」
「緒方、もしかして何かあったのか?」
若松先生ははじめから話を聞きたそうにしていたが、昼休みであることに気がついた。
「おっと、昼休みなのにすまない。緒方、前田。悪いが昼ご飯を済ませたら職員室に来てくれないか」
二人は若松先生の言葉に首を縦に振る。そうすると、若松先生は軽く手を上げ、食堂を後にした。
「驚いたな、まさか昨日の今日でもう練習試合申し込んでくるとはよ。しかもはじめをわざわざ名指ししてくるなんて」
「あの佐伯って野郎。余程俺と勝負したがってやがるな。見てろよ、今度こそ三振にしてやる」
「ところではじめ。お前今日から野球部の練習に参加するのか?」
「あたぼーよ。他のメンバーともいち早く顔合わせなきゃいけないしな」
はじめは話しながらご飯を口に運ぶ。ケンは箸を緩やかに進めながら、少し心配そうな表情を浮かべた。はじめはそんなケンの表情にすぐ気づいた。
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