1.晴くんと同居、薫くん乱入

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──ピン、ポン……。 そのとき、軽やかなのに重苦しい、無機質なチャイムの音がした。 晴くんはピタリと動きを止め、勢いの反動で彼の前髪が揺れた。私も目を開ける。チャイムはこの2LDK全体に響き、音が消えた後もしつこく耳に残った。 「……は、晴くん……」 「シ。静かに。……誰か来た」 唇に人差し指をあてたまま、晴くんは体を起こして玄関の方向を睨んだ。 ……助かった。彼の体が離れてそう思ったけど、ここを訪ねてくる人には私も心当たりがなく、引き続き晴くんの服の裾をそっと掴む。 「宅配便さん……?」 私が訪ねると、晴くんは首を横に振った。 「違う。今の音はこの部屋の玄関のインターフォンだ。その前にエントランスのインターフォンが鳴らなかったということは……このマンションの住人だ」 「ご近所さん? それなら、ご挨拶しなきゃ!」 「待て。……沙弓はいい。俺が出てくる」 ポン、と私の頭に手を置いて、晴くんは静かに、玄関へ向かった。 覗き穴を覗く。すると、晴くんは眉を寄せた後で、目を見開いた。一体誰? 壁に貼り付く私も気になって目を細める。晴くんは混乱した様子で、それでもゆっくりとドアを開けた。 ドアの向こうに現れた人を目の当たりにすると、私もその姿に釘付けになった。 「久しぶり、ふたりとも」 ──薫くん。
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