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そう言って、薫くんは目を細めて微笑んだ。
私はもう、この運命のいたずらに嬉しくなって、彼の手を両手で握ってブンブン振っていた。
「すごい……! 十年も経ってたまたまお隣さんになれるなんて……! 私たち三人って、もしかして運命の糸で繋がってるのかな!」
薫くんはクスクス笑いながら「そうだね」と言ってくれたけれど、晴くんはなぜか怪訝そうな顔をしている。
「……薫。本当に偶然か……?」
そしてそんなことを聞く。本当に、って、どういう意味……?
よく分からず、私は手を振ることを止めて、ふたりを見た。薫くんは相変わらず糸目のまま笑っている。
「うん。もちろん偶然だよ。ふふ、晴、それどういう意味?」
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