1.晴くんと同居、薫くん乱入

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「……いや、何でもない。会えて嬉しいよ、薫」 「うん、僕もだよ。晴」 ふたりはやっと体を近づけ、固く握手をした。 十年ぶりに繋がったふたりの手を間近で見て、私は嬉しくて涙が出そうだった。 握手を終えると、薫くんは玄関からこの部屋を見渡すように目を動かした。 そして最後に、晴くんを見る。 「それで、どうして晴と沙弓ちゃんが一緒に住んでるの? ふたりは付き合ってないよね?」 それはね、と説明しようと思ったが、どうして十年も会わなかったのに、私たちが付き合っていないと知っているんだろう、と不思議に思った。 もしかして、私と晴くんは全然そういう関係に見えないのかな。 晴くんの表情が、また硬くなった。
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