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しかし、薫くんは笑顔のまま晴くんの手を払って、また私の頬へと戻した。
「心外だなあ。僕も晴に力を貸してあげたいと思ってるんだよ。晴だって忙しくて沙弓ちゃんのそばにいられないことが多いでしょう? 僕は今ある程度時間に融通がきく立場にいるから、沙弓ちゃんの社会勉強に協力してあげられる。もちろん僕はこのままの沙弓ちゃんで良いと思ってるけど、大切な幼なじみの晴の言うことだもの。……ね? いいと思わない?」
いいと思う……!
薫くんが晴くんのことを“大切な幼なじみ”と言ってくれたことが何より嬉しかった。
やっぱりふたりには仲良くしてもらいたい。私の社会勉強に協力してもらう、というより、またあの頃みたいに三人で仲良くできたら……。
私はその一心で、薫くんの提案にコクコクと頷いてみせた。
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