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ちょっと待って、私に許可をとる前に、お父さんに先に話をしたの?
そう思ったけど、それが普通なのか、私が間違っているのかは判断つかなくて、よく分からず「良かった」なんて頷いていた。
「で、住むところだけど。もう決めてある。赤坂にあるタワーマンションだ。2LDKだからそんなに広くないけど、ふたりなら十分だろ。支払いはすべて俺が負担する。沙弓はなるべく家の中のことをやるんだ。おじさんに頼んで、同居が始まったら沙弓の総務の手伝いはしばらく休みにしてもらうことになってる」
一気にたくさん言われて、私は理解が追いつかなかった。
えっと……住むのはタワーマンションで、支払いは晴くん、私は仕事を休んで、家の中のことをする。
メモを取りたいくらいだが、晴くんの言うことなのでとりあえず「分かった」と承諾してみる。
昔に比べて、晴くんは、私にたくさん命令するようになった。
彼はしっかり者で私が世間知らずだから仕方ないが、私はそれが少し窮屈に感じることがある。
「私たちだけのお家かぁ……なんだか懐かしいね」
「何が?」
「よくお父さんたちに内緒で倉庫を秘密基地にしてたでしょう? 三人で。……ほら、薫くんも一緒に」
“薫くん”の名前を出すと、晴くんは眉を寄せた。
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