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薫くんは一度、シャワーを浴びに自分の部屋へ戻った。私も昨夜は薫くんが来たことでシャワーを浴びそこねていたから、この時間でそれを済ませ、身支度を整えることに。
お料理をすると言うから、汚れてもいいようにグレーのワンピースに黒のストッキングを履いた。
でもせっかく薫くんとのお出かけだからお洒落もしたい、と思い、お気に入りの桜色のポシェットを肩からかける。
髪の毛も少し編み込んで、女の子らしく。
一時間後、お互いの部屋の前で、と約束をしていた薫くんと落ち合った。
「わあ、可愛いね、沙弓ちゃん」
そう言ってくれた薫くんこそ、思わず見惚れるほどの格好良さだった。ベージュのテーラードジャケットに、白のパンツ。色合いが明るくて、キラキラと眩しい。
どうしよう、私、少し地味だったかも……。
「じゃあ行こうか」
薫くんはこちらへ左手を差し出した。キョトンとしたまま反応できずにいると、強引に、私の右手をとって歩き出す。
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