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「か、薫くん……私……」
「大丈夫。晴は優しいから、結婚を急かしたりはしないよ。ゆっくり考えていけばいい。沙弓ちゃんが本当は晴を好きじゃないってことは、黙っておいてあげるね」
嘘みたいに眩しい笑顔で、彼は私の頭を撫でた。
晴くんの言うとおりにしていれば何も間違うことはない、そう思っていた。
でも、もしそれじゃダメなんだとしたら?
今の私には晴くんと結婚する資格がない、薫くんにそう言われた気がした。
心当たりはある。昨日晴くんにベッドに押し倒されたとき、結婚するならああいうことをして当然だと言われた。
どこかで分かっていたはずなのに、私は怖くなったのだ。
晴くんに言われるままに同居までしてしまっているけど、薫くんの言うように、私にはもう少し時間が必要なのかも……。
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