2.薫くんとキス、晴くんには内緒

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「ごめんごめん。あまりに沙弓ちゃんが可愛いから、つい笑っちゃった」 笑われるのは恥ずかしいけど、怒って機嫌を悪くされるよりはずっと良かった。 しかし情けなくて包丁を手放してまな板に戻すと、薫くんは後ろから私の両肩に手を置いた。スッと余計な力が抜けていく。 「大丈夫、教えてあげるよ。僕の前に立ってごらん」 「うん」 良かった、教えてもらえる。 言われたとおりに薫くんの前に立ち、またじゃがいもと向かい合った。 すると、右手は右手、左手は左手、彼の手が背後から私の手をそっと包み込んでくる。 「え、薫く……」 「そのまま。前を向いてて」 耳に息を感じるほど、薫くんが近い。 背中にはぴったりと彼の体が密着している感触があり、視界ではふたり分の両手が絡み合っている。
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