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目を閉じられずにいたが、彼も開けたままでいる。呆然としているところを絡めとられ、湿った音が鳴った。
すぐに唇が離れたが、湿った感触は残ったまま。
「ほらね。沙弓ちゃんは無防備なんだよ」
瞳を細めた薫くんがそう呟いた。
「薫くん、どうして……」
「自覚しないと治せないって言ったでしょう? 僕が治してあげる。ね?」
微笑んだ薫くんは、また甘いキスを落としてきた。
どうしよう。薫くんとキス、しちゃった……。
付き合ってもいないのに、こんなことしちゃダメだって分かってる。でも体ごと彼に絡めとられて身動きができない。
なにより、抵抗する気になれない。
「治すため……?」
「うん。協力するって言ったでしょ」
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