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真っ先に思ったのは、別に私のことが好きとかではないんだ、という落胆だった。
キスは好きだからするものだと思っていたのに。
じゃあ晴くんとはどうするつもりだったんだ、と聞かれれば、それは別、となってしまうけど。晴くんは教育熱心な人だから。
でも、薫くんも同じようだ。私のダメなところを治そうとしている。
キスは続き、湿った音がふたりきりのキッチンに響いた。
「ああ……可愛いよ、沙弓ちゃん。沙弓ちゃんのそういう顔、僕はもう何回想像したか分からないのに……。実物はたまらないなぁ……」
キスをしながら、薫くんは器用に言葉を紡ぐ。ふたりの息が熱くて、押し上げてくる脚も、絡め取られている指も、私を追い立ててくる。
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