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また妙な空気になってしまった。
テレビのニュースだけが流れる室内で、私は今まで怖くて聞けなかったことを聞いてみることに。
「晴くんは……薫くんのこと、嫌いなの?」
彼はピクリと反応して、すぐに私を見た。その目は少し鋭くて、怖かった。
「そんなわけないだろ」
晴くんはすぐにそう答えた。
私は魚の小骨がとれたようにホッとして、胸をなでおろす。良かった、ちゃんと否定してくれた。むしろ変なことを聞いた私を怒っているようにも見える。
安心して涙が出てきた。晴くんはギョッとした顔で、私の頭を撫でてくれる。
「ごめん、不安にさせて。薫のこと嫌いとか、全然そんなんじゃないから。……沙弓が思ってる以上に、俺は薫のこと好きだし、信頼してる」
「本当に……?」
「ああ。だから泣くな。冷たく見えるかもしれないけど、大人になったんだからこのくらい普通だよ。昔とは違っても、俺にとって薫は大切な幼なじみだ」
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