3.薫くんのお仕置き、晴くん助けて

2/20
117人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
また妙な空気になってしまった。 テレビのニュースだけが流れる室内で、私は今まで怖くて聞けなかったことを聞いてみることに。 「晴くんは……薫くんのこと、嫌いなの?」 彼はピクリと反応して、すぐに私を見た。その目は少し鋭くて、怖かった。 「そんなわけないだろ」 晴くんはすぐにそう答えた。 私は魚の小骨がとれたようにホッとして、胸をなでおろす。良かった、ちゃんと否定してくれた。むしろ変なことを聞いた私を怒っているようにも見える。 安心して涙が出てきた。晴くんはギョッとした顔で、私の頭を撫でてくれる。 「ごめん、不安にさせて。薫のこと嫌いとか、全然そんなんじゃないから。……沙弓が思ってる以上に、俺は薫のこと好きだし、信頼してる」 「本当に……?」 「ああ。だから泣くな。冷たく見えるかもしれないけど、大人になったんだからこのくらい普通だよ。昔とは違っても、俺にとって薫は大切な幼なじみだ」
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!