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嬉しくて窓を開けてみたり、ソファに座ってみたりと歩き回っていたが、晴くんはキッチンのカウンターで小物を出したりしまったり、忙しそうだ。
「沙弓。ちょっと来て」
手招きされ、私もそこへ行き、大人しくカウンターの椅子へと座る。
カチャリと音を立てながら、彼はテーブルに黒いカードを二枚出した。
「ここはカードキーなんだ。エントランスは番号でも開くけど、これがないと部屋は開かない。……まあ、予備の開け方もあるんだけど、それはとりあえず俺だけが知っていればいいから、そういうことになったら相談して」
「うん、分かった。無くさないようにするね」
「いや、カードキーもとりあえず俺が保管する」
彼はテーブルに出したカードキーを、また二枚とも自分のジャケットの中に戻した。
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