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3.薫くんのお仕置き、晴くん助けて
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その夜。
帰ってきた晴くんは、ほとんど薫くんが作ったこの甘いカレーを食べてくれた。
私が料理を作ったと言ったら彼は目を輝かせたが、見た目と味を確認した後、顔をゆがめながら「薫と作ったのか?」としつこく聞いてきた。
晴くんに嘘をつくことはできず「そうだよ」と答えると、それから晴くんは黙って食べていた。
食べ終えて、晴くんは不機嫌なままスーツを着替え始める。
「薫とふたりきりになるな。……そう言わなかったか」
彼は呟いた。また怒られる。そう思って、弱々しい声で言い訳を返す。
「う、うん。言ったよ。でも、晴くんに喜んでもらいたいって、薫くんが言ってくれたから……」
キスをしたことは言えない。秘密って言われたし……。
でも、薫くんの力を借りてご飯を用意したことは、悪いことではないと思っている。てっきり私もそれは喜んでもらえると思ったのに。
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