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「今日はこれで終わり、今週からのテスト頑張れよ~。」
三年の先輩の号令で今日の練習は終わった。まだ日は沈んでいない。
他の部活も明日のテストのためか早めに切り上げ、帰り支度をする生徒が目立つ。
詩音は胴着から制服に着替えると更衣室を出て停車禁止の場所に停車した自転車のスタンドをあげた。
胴着の入ったバッグを、自転車のカゴに放り投げるとハンドルを握り、サドルを跨ぐと不意に見慣れた少年と、見慣れぬ少年が詩音の眼前に映った。二つ並ぶ樹々の裏で帰り支度を終え竹刀袋を背中に担ぐ蓮と学校指定の手提げカバンを肩にかけた来が話をしている。
少し意外だった。学校で人気者の蓮が来を相手にするとは到底思えなかったし、何か来と共有できる話題もあるのだろうか。まぁ同時期の転校生だし、その辺の共通した話題で盛り上がることができるか。
詩音は地面を蹴り上げペダルに両足を乗せると勢いよくグラウンドに進入した。
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