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二か月くらい前、自分たちのクラスで小さな変化がおきた。
なんと転校生が二人も自分のクラスに入ってきたのだ。一人も珍しいのに二人も転校生が同時に、しかも同じクラスにクラス分けされるなんてそうはないことだろう。
そのうちの一人ー九条蓮(くじょうれん)はさきほど詩音の遅刻をしてきした少年でスポーツ万能、成績優秀、容姿端麗の三拍子。すぐさま学年の人気者の座についた。
そんな完璧で非のうちどころのない少年は詩音が中学生の頃から励んできた剣道をいとも簡単にマスターしてみせ、いまやこの部内で彼に敵う者はいないだろう。そんなわけで詩音は蓮に密かなライバル心を燃やしていた。
人気者でいつもたくさんのギャラリーに囲まれる蓮。
そんな彼とは裏腹に、もう一人の転校生はいつも独りだった。
なんというかもう一人の転校生ー岳羽来(たけはねらい)は暗かった。
ボサボサの黒髪に緑の太い眼鏡、冴えないとしか言いようがない容姿である。
おまけに気が弱いようでこの間も先生に現代文の解答を求められただけでまるで迷子のようにおろおろしていた。友達作りも苦手なようで昼休みの昼食はいつも一人で摂っている。
詩音ははじめ学級委員の使命感で彼に声をかけてみた。しかし、彼はもじもじとした態度をみせていてそんな彼に苛立った詩音との間で会話は成立するはずもなくそれっきり。
友人やクラスのみんなからの印象なんて自分で形づくっていくものだし、いくらクラス委員とはいえそこまで彼の面倒をみるのはおかしい。変な噂がたつのも嫌だ。
そんなわけで詩音は彼にこれ以上干渉するのを止め、放っておくことにした。
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