ハロウィンのふたり。

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 寒がりの僕はすでにコタツで暖を取っていて、蛇塚くんにそれ言ったら『いいなーコタツあたらせて』と、お菓子を手土産に僕の部屋に遊びに来た。  週の真ん中、水曜日の夜。  特になにをするでもなくコタツに入ってテレビを見ていると、ハロウィンの街の様子が映し出される。  明日はハロウィンだ。 「ねぇ、ハロウィンにさ、近所の子どもたちがお菓子もらいにアパートに来るんだって」  夕方紗樂さんが共有キッチンで楽しそうに、小分けのお菓子をかわいい袋に詰め直していた。  紗樂さん、こういうイベント絶対好きだよな。 「楽しそうだよね、僕らもなにかしてみようか?」  今までハロウィンなんてしたことなかったけど、このアパートでハロウィンがあるなら一緒に楽しんでみたい。  猫背になってコタツにひじまで入った蛇塚くんは、コタツの上に置いてある食玩のオマケをあごで指す。 「この大量のガムとラムネでつかみ取り大会でもやったら?」 「盛り上がりそうだけど、オマケってのが味気ないなぁ」  なにかいい案はないかなとテレビを見ていると、酔った大人たちが仮装してワイワイやってる。 「仮装でもしようか?」  簡単なヤツなら明日衣装を準備できるでしょ。 「なんの仮装すんの?」 「うーん、外国のおばけとか、子ども向けのアニメとかゲームのキャラとか?」  蛇塚くんは少し考え込んでから僕の部屋を見回した。 「お前ここに小道具たくさんあんだから、こーいうのやったら?」  部屋のあちこちに積み上げられている特撮番組の玩具。  食いついてくれる子もいるかも知れない。  先日買ったばかりの変身ベルトが入った箱に手を伸ばす。
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