嘆きの追憶

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「僕は君の言った事を伝言しただけなんだけどな。」 二人は笑いあって休み時間は終わった。 次の日、富士子が教室に入った瞬間に何かが変わった。さっきまでガヤガヤうるさいくらいだったのにシーンと空気が張り詰めている。おはようと声を掛けようとしても誰とも目が合わない。 ( 変な感じ。) 物凄い違和感を感じながら席に着くと尾上君と目が合った。掃除の時間が終わり教室へと急ぐ。一番近い道を走ってトイレの横の細い道を進んだ所で頭の上からゴミを被った。 「 ゲホ、ゲホ、オエ。」 砂や髪の毛や紙クズやホコリがざーっと富士子の頭をめがけて落ちて来た。一緒に走ってた子にも少しかかった。 次の日、そこまで走って来た富士子はハッと思い出して急に止まって上を見た。2階の窓から玉井さんがちりとりを持って待ち構えていた。玉井さんは富士子と目が合うと舌打ちをした。 「 玉井さんだったんだ。」 京田君をイジメた張本人は玉井さんで、あの男子達はただアホなだけなんだ。 (イジメの標的が自分になったのだ。) と、富士子ははっきりと解った。
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