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賢い男子が2〜3人いて彼らは富士子に普通に接してくれた。他の誰も話してくれないから富士子は嬉しくてついつい笑顔になってしまう。そしたら、
「男に媚びるイヤな女。いつもと全然違う。」
と、みんなに聞こえるように大きな声で言われる。富士子は家でロクにご飯をもらっていなかった。富士子の父親は社長でお金持ちだったけれど、富士子にご飯を普通に食べさせてくれなかった。だから富士子は小学校3年生の時に体重が20キロもなかった。物凄く痩せていた。
「 ナヨナヨしたイヤな女。男にだけ笑い掛ける媚びる女。最低。」
コソコソと富士子に聞こえるように女の子達が言う。やっと一人になれる場所を見つけたと思いトイレに入っていると、頭の上から水がザーっと降ってきた。富士子は水浸しになった。だけど何をされても富士子は誰にも言わなかった。生まれた時から不条理の中で生きて来た富士子は誰に助けを求めて良いのか全くわからなかった。
ある日授業参観があった。富士子の母親はいつものように着飾って来た。その日に合わせて服や靴やバッグを買い美容院へ行って来た。富士子の母親は人から美しいと言われる事に命をかけていた。いつも富士子を無視している女子達が、
「富士子ちゃんのママ綺麗。」
と、言うほどだ。でも富士子はそんな事はどうでもよかった。富士子はただ自分を愛してくれる優しい母親が欲しかった。夢だけれど。富士子は玉井さんのお母さんに興味があった。どんな風に育てたらこんなに意地悪な女の人が育つのか不思議だったからだ。
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