何気ない日々の中で

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午前中、そのやり取りの後、常務から呼ばれて、部屋を訪れた。おそらくぼくは、一応看護師を集める人事グループに属してる。なのになぜ、事務職の人財の面接をしなければならないのか…。そこを説明してくれるのだろう。 「失礼します。常務。明日の面接よろしくお願いします」 「うん。よろしく頼むよ。でも成田くん。なんでぼくが事務職の人財の面接をしなければならないんだって感じてるだろ?」 「はい。それの経緯を確認したいです。なぜなんですか?」 「しばらくの間、兼任してもらいたい。成田くんの人柄を買っててね。各看護部長からも高評価でね。それで、少し事務職ももっと強化して行きたくてね。そこで矢が刺さったのが、成田くんなんだ。ぼくも、少し手には負えないくらいの案件がきていてね。ぼくのサポートもして欲しいんだよ。やってくれるかい?」 蒼井常務とは、前職の時からの師弟関係で、お世話になりっぱなし。今のこの仕事も、誘ってくれたのも常務である。その常務から頭を下げられたら断る理由は何一つない。喜んで受けたい。 「喜んで。もちろん…させていただきます。ここに来たのも、常務の激務を少しでも無くしたいと思い入職してますので」 「そう言ってくれると信じてたよ。よろしく頼むね」 そうちゃんと説明をしてくれるのも、常務が尊敬するポイント。なかなか、上からの指示なので、説明なしに動くパターンが多い中、しっかりと説明をしてくれる。そんなのがあるからこそ、常務の仕事をほんの少しでも担いサポートしていきたい。 「ところで、明日の事務職の面接だが、成田くんはどうみてる?」
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