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「どんどん渡してくれ。」
ボクは言われるがままに、次々とヒヨコをお父さんに渡した。そうすること二十分。ダンボールの中のヒヨコは残り一匹になっていた。
「これで最後だよ、お父さん。」
最後のヒヨコをお父さんに渡そうとしたとき、ボクはそのヒヨコが他のヒヨコと違う事に気づいた。
「この子、頭に帽子みたいな模様があるよ!」
ボクは大発見に嬉しくなりお父さんに言った。
「たまにあるんだ、そういう事。」
「へー……。
ねぇ、お父さん。この子に名前をつけていい?」
「……まぁいいが。
でも、ニワトリになる時に毛が生え変わるから模様はなくなっちゃうぞ。」
「それでもいい。」
「で、なんて名前にするんだ?」
「ジョージ。外国人みたいな帽子だから。」
「ジョージか……。男みたいだな。」
「ダメ?」
「いいけど、メスじゃないと困るからなぁ……。」
「メスじゃないとなんで困るの?」
「このヒヨコたちは卵を採るために買ってるんだ。
だから、うちにオスはいらないんだ。」
「オスは卵を産まないの?」
「産まない。」
「ふーん。」
ボクはジョージがメスであることを祈りながらお父さんに手渡した。
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