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ジョージは卵を産む回数があまり多くなかった。お父さんが言うには、普通は1日1回産んで、たまに休むくらいらしいけど、ジョージは3日に1回くらいしか卵を産まなかった。
体が小さいからだろうって、お父さんは言っていたけどボクはそれがとても不安でならなかった。ジョージのケージには洗濯バサミがつけられた。それは、あまり卵を産まないニワトリの目印だった。
最初は3日に1回だったジョージの卵は、4日に1回、5日に1回とどんどん長くなり、ついにジョージは1週間に1回も産まないこともあるようになった。
ある日のこと。お父さんに一緒に来てくれと言われて、ボクとお父さんは鶏舎のジョージのところへ向かった。その時のお父さんはとても苦しそうな顔をしていた。鶏舎に着くとジョージのケージには洗濯バサミが10個ついていた。
「いいか、ダイスケ。
ニワトリが卵を産まなかった日には、こうやって洗濯バサミを着ける。
逆に、卵を産んだ日は洗濯バサミがついていたら全部取る。
どういうことかわかるか?」
「ジョージは10日間も卵を産んでいないってこと?」
「……そうだ。」
お父さんはそう言うとしばらくボクのことを見ていた。こんな悲しそうな目のお父さんをボクは見たことがなかった。
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