気になる君。

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*** これは一体どういう巡りあわせなんだろう。 放課後の教室。ひとつの机に広げた日誌。 向き合ってペンを走らせるのは……前原くん。 まさか、前原くんとこんなことになるなんて思わなかった。 本来なら前原くんは全然関係ないわけだし。 「あの……付き合わせちゃってごめんね」 ほんの少し勇気を出して発した声が、他には誰もいない室内に響く。 日誌を書いて終わり……だったはずが、先生に呼ばれて、プリントを刷るのを手伝わされてしまった。 おかげで、窓から差し込む光はもうオレンジ色。 前原くんは手を動かしたまま、「何で望月さんが謝んの?」と、聞いてきた。 「望月さんだって、今日当番だったわけじゃないじゃん」 「あ……うん、そうなんだけど……」 そう言われたらその通りで、あはは……と、愛想笑いを返す。 そして再び……沈黙。
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