気になる君。

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こうなることは予想の範囲内。 前原くんは普段からあまり喋らないし、私も特別親しいわけじゃない人と話すのは苦手だから。でも……。 4限目『体育』、5限目『数学』と次第に埋まっていく空欄。 何も話さず、こうして過ぎてゆく時間が、とても勿体無く感じられた。 って、いうか……。 話したいことがあるのに、言葉に出来ない。 だって、いきなりこんな話をしたら、引かれちゃうかもしれない。 もっとも2年以上前のこと、前原くんはもう覚えていないかもしれない。 むしろ、その可能性の方が高くて……。 せっかくふたりっきりで話せるチャンスが到来したっていうのに、私は黙ったまま。 意外にもスッと規則正しく伸びた、前原くんの指先を見つめることしか出来なかった。 「……じゃあここ、望月さんから書いてもらえる?」 最後の『今日の出来事』という欄になって、前原くんは私に日誌を回した。 「うん」と頷きながら、自分の筆箱からシャーペンを取り出す。
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