69人が本棚に入れています
本棚に追加
それに……初めて見た前原くんの笑顔はとても温かくて。
きっとみんなが思っているほど、暗い人なんかではないと思った。
結局昨日は入学したときの出来事について、何も話せずじまいだったけど、もう少し話をして仲良くなれたら……話してみようと、お礼を言いたいと思った。
……そのことも含めて、
「あのね、実は……」
本当に気になっているのは田澤くんじゃなくて、前原くんなんだってことを、私は勇気を出して、ふたりに素直に伝えようとした……そのときだった。
ガタンッ!
教室の後方で何かがぶつかったような、大きな音が響いた。
私はもちろん、梨花も朱里もクラス中のみんなが、反射的に音のした方へと目を向ける。
するとそこには、机の位置からは大きくずれた椅子と……
そこから転げ落ちそうになっている、前原くんの姿があった。
そしてその後ろには……田澤くんの姿。
最初のコメントを投稿しよう!