主よ、人の望みの喜びよ

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 昼休み、雅臣が食事を終えるのを見計らって、空は声をかけた。 「神くん、今からちょっといい?」 「構わないけど」 「君に、ピアノを聴かせたいんだ」  そういう事なら喜んで、と雅臣は空と共に音楽室へ向かった。  ピアノの前に座った空は、長椅子の隣をぽんぽんと叩いて見せた。 「ここ。隣に座ってくれる?」 「いいよ」  二人並んで、ピアノの前へ腰かけた。  鍵盤の上に、静かに指を置いた空は、それと同じくらい静かに語った。 「せっかく知り合いになれたけど、もうお別れなんだ」  演奏が、始まる。 「なぜ? 転校するのかい?」 「うん……」
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