78人が本棚に入れています
本棚に追加
「起きろ、小室(こむろ)。そして、早く服を着ろ」
雅臣を連れて、校内を案内して廻っていた生徒会長の長田(おさだ)は、小室に冷たい声をかけた。
「あ、長田くん。それと、え~っと。神くん」
やけに間延びした口調には、感情というものが欠けていた。
まるで、人形のようだ。
彼の周辺には、使用済みのスキンが散らかしてある。
長田は顔をしかめて、命じた。
「服を着て、後始末をしろ。まったく……、売りもほどほどにしとけよ」
「へへっ。今日は、5千円も稼いじゃった」
「いいから早く!」
「解ったよぉ」
ふらりと半身を起こした小室に、雅臣は手を差し伸べた。
「立てるかい?」
その時初めて、小室の瞳に光が宿った。
最初のコメントを投稿しよう!