主よ、人の望みの喜びよ

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「神くん、ありがとう。お礼しなきゃ、ね」  制服を着て、空はピアノに向かった。 「お礼、って」 「手を貸してくれた、お礼」  人に親切にしてもらうと、嬉しいよね。  そう言って空は、椅子に腰かけた。 「神くんは、どんな曲が好き? 今、どんな曲が聴きたい?」  お礼に、ピアノを弾いてくれるというのか。  雅臣は、隣でイライラしている長田を横目で見た。 「そうだな。ドビュッシーの『月の光』、弾けるかい?」  長田の心を鎮めようと、雅臣は静かな癒しの曲を選んだ。 「難しい曲名を言われても、解んないな。どんな感じの曲?」 「ええっと。穏やかな曲を頼むよ」 「OK」  
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