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#05こんなの嫌なのに…
【亮平side】
満面の笑みで「ありがとう」と言ったさやか
なんだか嬉しくなったが、一瞬でその気持ちは冷めた
せっかく今まで、温かく優しい空気が流れていたのに
俺と結婚する気も、一緒に住む気もない
また誰かとお見合いしろだって?
それは無理だ。
今までの経験上、俺はおそらくこいつに惚れている。
生まれて初めて自分から惚れた女だ
何がこんなに俺の心を突き動かしているのか…
きっと、こいつの自然と溢れ出ている空気感なんだと思う
だから…お前の心も顔も、声も言葉も全部が欲しい。
その華奢な体も…全て
最初は、惚れさせてからズタズタにして捨ててやるなんて数時間前の俺はよく言ったもんだ…
途中、雨が降りだした
一旦家に戻ろうとさやかの腕を引っ張ったが、すぐに振りほどかれ、ほっといてと俺には帰れと言った。
そんなに嫌なのか…
『分かった。結婚はしない。でも今は雨も強くなってきたし、一度俺の家に戻ろう。車で実家に送る』
ほっとける訳ねーだろ
今はこう言うしかない。素直についてきてもらうには。
分かった。お願いします。と俯きながらそう言った。
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