あの頃の想いは今も輝いて

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もしあの言葉がなかったらどうなっていたかはわからないけど。 でも、いまの俺はこの仕事を間違いなく天職だと思っているし、好きだから。 「塩尻さん」 キュッと彼女の手を握る。 「は、はい.......」 甘い雰囲気に変わったことに気がついたのか、俯きがちにこたえる。 「好きだよ」 ずっとずっと伝えられなかったこの言葉、やっと伝えられるこの言葉。 ずるいと思ったけど、塩尻さんが好きだと言っていた俺が演じてるキャラクターの声で。 「.......っ」 俺の言葉に反射するように真っ赤になった顔で俺を見上げる。 「もう、会えないと思ってた」 「.......平井さん」 「でも、また会えたならもう遠慮はしないよ」 またいつか会えることを心のどこかで願ってた。 俺にひとつの夢を与えてくれた存在にずっとまた会いたかった。 会って、声優をやっていることを言いたくて仕方なかった。 塩尻さんに出会えたから今俺はここにいるんだから。 「俺と付き合ってくれたら嬉しいです」 震える声を振り絞って、あの頃の想いといまの想いと一緒に口にする。 そこにはあの頃のより大人になった俺と君の未来絵図が二人一緒になっていたら最高だ。 -Fin-
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